隣は４年の″水谷康介″さん。初めて見る先輩。就活で忙しくて来れてなかったとのこと。

話したことないし、大人しそうな感じの人だ…。そして、すごいイケメン…。

……てか、さっきからずっと見られてるんですけど…。


私は見られてることに気づかないかのように、ずっと窓の外を眺めていた。

「るかちゃん？あのさ…」

不意に康介さんは話かけてきた。

「はい？」

「あ、るかでいいよね？噂は聞いてるよ。マネさん上手なんだってね。」

康介さんはサラッとそんなことを言っている。

私は少し嬉しかった。だって、努力を認めてもらえてるんだから。

・・・とはいえ、まだまだ未熟なんだけどね。

「いえ、そんなこと全然ないですよ。普通です。」

私は素直に答えた。だって、私よりすごい人はいっぱいいるから。

「選手のためにそれだけ頑張ってくれると、俺らもやる気が出るよ。これからもよろしくね。」

…嬉しかった。けど、それ以上に、この人の笑顔は反則だと思った。

「は…はい、よ…よろしくお願いします…。」

私はやばいくらいに緊張してしまった。

…きっと、今、私の顔は真っ赤なんだろうな…。やばい…。

そんなこと気にしてないのか、話は続いた。意外とよく話す人みたいだ。

「るかは、水泳を好きなんだね。嬉しいよ。俺も大好きだから。」

…なんでこんな恥ずかしい言葉をスラスラ言えるんだろう…しかも、違和感がないのがすごい。

「今日は、るかたちが主役だし、存分に楽しんでね☆ってか、楽しもうね。」

「はい！」

私は返事をするのでいっぱいいっぱいだった。


そのあとも、康介さんは水泳について、それとこの水泳部について熱く語ってくれた。

正直、感動してしまった。



そんな中、目的地についたようだった。



「るか、いいなあ、康介さんの隣♪」

降りてすぐに言ってきたのは美紀だった。

「水泳部No.1のイケメンらしいよw」

彩はそういう情報が早い。さすがだ…。

「うん、水泳について熱く語ってくれたよ。楽しかった♪」

「「いいなぁ～。」」

そんな話しをしながら私たちはまいさんからくじを受けとった。チームわけのくじらしい。

私は…Ｂだ…。１年生はみんなバラバラらしいから淋しいな…。

「るか、何だった？」

篤さんだ。私はくじの紙を見せた。

「お、一緒じゃん♪今日１日よろしくな！」

「はい、よろしくお願いします。」

私は篤さんと一緒ということで、少しホッとした。

「お、篤もＢか。俺も。るかもよろしくな。」

そう言ったのはNo.1のイケメン、康介さんだった。

「Ｂはこっち～。」

康介さんが集めだした。行動派だなぁと感心してたけど…

見事に私以外は男の人だった…。やばいなぁ…。でも、頑張るぞ！



さすが、運動部なだけあって、競技は見事に運動系だった。

草スキーリレーは意外と楽しかった♪



午前中の競技が終わってお昼だ。

お昼もくじ引きで決まった。

私は大好きなから揚げ弁当だ。彩は親子丼、美紀はハンバーグ弁当だった。

「昼から親子丼は重いな…。」

彩は少し不満げだ。

「確かに。ま、仕方ないじゃん！」

そんな彩をみながら、美紀は笑っている。


お昼は部員全員でブルーシートに円になって食べた。

…いや、円大きすぎでしょ！とか思いながら、先輩たちからの質問の嵐を受けていた。

質問が途切れる頃には、午後が始まった。



午後のはじめは大縄跳びらしい…自信ないなぁ…。地味にきついんだよね…。

「次はＢチーム！」

まいさんから呼ばれて私たちは跳び始めた。

…足がからまる…。てか、もうきついよ～！早く誰か引っ掛からないかな…。

「あっ…」

…ん？声とともに縄が来なくなった。

「篤～！」

「すみません…。」

どうやら、引っ掛かったのは篤さんらしい。助かった。

結果、縄跳びは私たちは３位だった。



縄跳びのあと、少し休憩が入った。

ちょっとノドが渇いたな…

「はい、これ飲みなよ。」

私は目の前に差し出された飲みかけのアクエリアスを受けとった。

「マネさんに大縄はきつかったでしょ？少しゆっくり休んで、次も頑張ろうね。」

篤さんはそういって走って行った。

私は渡されたアクエリアスをジーッと眺めていた。

「飲みづらいならこれやるよ。まだ口つけてねぇし。」

今買ってきたと思われるポカリが目の前に差し出されている。

「晃…。」

「男が苦手ならしかたねぇじゃん。飲みづらいんだろ？」

晃は私の考えなんていつもお見通しだ。すごい…。

「…ありがと。」

私は晃からもらったポカリで渇いたノドを潤した。…生き返る。

晃はニコニコしながら私を見ている…。…なんで？

「なに？私の顔なにかついてる？」

私は少し不安になって顔を触る。

「いや、なにも？いい飲みっぷりだなぁと思って。」

「なによ、それ？」

「ん？まぁ、気にすんな。」



休憩も終わりそうだったので、私は篤さんたちのところに向かった。

「あれ？結局買ったの？」

「あ、はい。結構ノドが渇いてて…いっぱい飲むのは申し訳なかったので、少しいただいてから晃と買いに行きました。」

「…晃と…ね。」

？？

篤さんはなんか少し不満そうな顔をしたが、すぐに笑顔に戻った。

私の気のせいかな？

「次も頑張ろうな！目指すは優勝だ。」

「はい。」



最後は総当たりのドッチボールだった。

時間無制限…って結構ハードだよ～！

でも、男が多かったおかげで…というか、康介さんがすごく強かったおかげで、私たちは全勝だった。

康介さんってすごい…。

「ドッチボール楽しかったな！！」

康介さんはすごく満足そうだ。

「ですね～。康介さんのおかげでそんなに長く走らなくてよかったですし助かりましたよｗ」

「いやいや、そんなことないやろ。みんなで頑張ったからやし。」

「康介さんのスーパープレイ、やばかったですね。」

「まぁ、水泳もドッチボールもチーム競技なんだから、1人だけの力じゃ勝てなかったよ。みんなでかったんだ。それに楽しめたし、俺はすごく満足。」

康介さんはほめられたのが恥ずかしかったのか、みんなの肩をたたいて回っている。

「るかも、女の子1人だったのに、よくがんばったね。お疲れ！」

「はい、お疲れ様です。」



結局、私たちは1点差で総合２位という結果だった。商品はお菓子の詰め合わせ♪♪

「おしかったよなぁ・・・」

「篤が縄跳びで引っかからなきゃなぁ・・・」

「いやいや、関係ないやろ。」

２年生は仲がいいのか篤さんをいじって遊んでいた。




その後、バスに乗り込んだ。座席はまたもやくじ引き。くじ引き好きだなぁｗｗ

私は、今度は篤さんの隣だ。

篤さんとは何かと縁があるのかも。

私たちが話していると・・・

「るか、お菓子食べよ。」

「俺も食いたい。」

美紀と晃だ。

「私の分も残しといてね。」

そういって、チョコレートを渡した。

「俺、ちょっと疲れたから休むね。」

そういって篤さんは寝てしまった。私も少し休もう・・・。

しばらく寝て、目が覚めるとチョコが返ってきていた。

私はおなかもすいたので食べようと思って開けた・・・・。

？？？？残り１個？？？？

「ちょっ・・・美紀、晃、これひどくない？！」

私は思わず大声を出してしまった。だって、私のチョコが・・・・

「話ながら食べてたらつい・・・」

「だからってひどいよう・・・」

「ごめんって・・・」

晃はすごく申し訳なさそうだ。

「ん・・・」

私の声で篤さんをおこしてしまった。申し訳ない。

「あ、篤さん、すみません。」

起きた篤さんは私の前に何かを差し出してきた・・・・チョコだ。

「これあげるから仲良くねｗｗ」

篤さんはにっこりして言った。私はチョコくらいで怒ってしまった自分が恥ずかしくなった。

「あ、ありがとうございます」

私はあまりにも嬉しくて、満面の笑みを返した。

「あ、るか、私にもちょうだい。今度は1個で我慢するからｗｗ」

「美紀・・・本当に1個だけだよ？」

私たちは仲良くチョコを食べた。

篤さんがくれたチョコはちょっと高級なヤツで、すごくおいしかった。

私は満足してまた眠りについた。

篤さんが横で顔を真っ赤にしていることにも気づかずに・・・・・。

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